不思議な鉄筋
古民家のフルリノベーションが進行中です。
揚屋(建物全体をジャッキで持ち上げる)を行い、殆ど地面に直接触れていた土台を新設し、基礎の上に乗るようにします。
その基礎打ちの際、何やら不思議な形に組まれた鉄筋を発見しました。
基礎コン打設後の姿です。
ちょこんと頭だけを基礎の上に覗かせていますが、一体何に使うのでしょうか。
答えは……、
建物の傾きを直す「建て起こし」で、ワイヤーのフックを引っ掻けるためのものでした。
画像を斜めに切る様にワイヤーが走っているのが見えるでしょうか。
長年建ち続けてきた古民家は、建物自体がしっかりしていても地盤の沈下や一部土台の腐朽などの要因で、どこかねじれたり柱が下がっていたりと傾きが発生していることが多いです。
古い建物で建具の開け閉めがし辛いのもこれが原因です。
そこで、梁と基礎をワイヤーで繋いで引っ張り、レーザーで確認しながら倒れている柱がまっすぐになるように起こします。
ただ起こすと言っても、一箇所の柱を直すと別の柱がねじれたり、大黒柱を直そうしても力が強すぎてなかなか直ってくれなかったりと、一筋縄ではいきません。
どの柱がどちら側に傾いているか?どの梁・桁を引っ張れば動かしたい方向に動いてくれるのか?
大工さんと職人さんが一緒になって建物を見極め、順番に進めます。
傾きが直ったら耐震壁を入れ、再び柱が傾いてしまわないように固定します。
工事が進むと先ほどのフック掛けは床下に隠れるか切られてしまい、見ることができなくなります。
工事中にしか見られない縁の下の力持ちです。