TOP > スタッフダイアリー, 白木建設ブログ > プレカット加工と手刻みの違い

いわゆる「建て前」までの構造材の刻みについてお話します。
昔は、ホゾ穴から仕口や継手の加工まで、すべて大工が行なっていました。
しかしながら現在では、機械によるプレカット加工が主流となっています。
日柄の良い日に間竿(けんざお)を作ることが、ひとつの作品造りの第一歩です。
大工さんは、この間竿と絵図板(えずいた)と呼ばれる平面図と架構図のみで、刻みを行ないます。
時には原寸図を描き、仕口の仮組みをしながら刻んでいきます。
刻みにかかる日数は、一般的な住宅で坪あたり1.5~2人と言われています。
例えば延べ40坪の場合、60~80人手間かかる訳です。
ひと月あたり25日仕事をするとした場合、3ヶ月前後の工期が必要になります。
機械によるプレカットの場合はどうでしょうか。
同じく延べ40坪の場合、加工自体に要する日数は精々1週間です。
事前に架構図の打ち合わせは頻繁に行ないますが、大工さんによる手刻みと比較すると、大幅に工期は短縮されます。当然ながら、費用にも大きく影響します。
当社での基本は、大工さんによる手刻み加工です。
先日もお施主様から、手刻みとプレカット加工の違いについて質問がありました。
上記のようなことを説明させていただきながらも、工業製品のように完成品の比較ができないため、いわゆる費用対効果が分かり難いことが現状です。
何故、当社が手刻みにこだわるのか。
手刻みの何が良いのか。
いつも言わせていただく一言は、「職人の魂が入ります」。
平たく言えば、気概や思い入れが強くなるということです。
材木1本1本から自らが墨を付け刻んだ結果、立派な家が建ちあがることは大工冥利に尽きます。
当然ながら、我が家同様の気持ちになります。
ベテラン大工でさえ、建て前の前夜は心配ごとは尽きません。
15年前、造作中に土足で入ってきた施主様に向かって、大工が怒鳴りました。
「土足で入るな!」
「造作が終わるまでは、ここは俺の家だ!」
当時、現場を担当していた私はびっくりして施主様にお詫びの言葉をかけましたが、施主様から反対に感謝の言葉をかけていただきました。
今は引退されましたが、実にきれいな仕事をされる素晴らしい大工さんでした。
宮大工の仕事で、五重の塔・三重の塔などがあります。
棟梁はその塔の数の分だけ寿命が縮まると言われました。それだけ全霊を込めて尽くしたわけです。逆に尽くさなければ成就できなかったと思います。
人それぞれ価値観や事情が異なります。
決して私たちの考え方を押し付けることは致しません。
ただ、時間的に予算的に少しの余裕がありましたら、大工による手刻みをお薦めいたします。